マーケティングと心理学の関係性
こんにちは!デザインファミリー マーケティング課の桃谷です。
皆様は普段マーケティングを行う上でユーザーの心理を考える場面も多いのではないでしょうか?
マーケティングと心理学の関係性は、「人間の行動、動機、感情、そして意思決定プロセスを理解すること」に共通の関心を持っているため、深い親和性があります。
本日は「マーケティングと心理学の関係性」についてお伝えしていきたいと思います。
目次
心理学がマーケティングに与える影響とは?
心理学では、感情、認知、行動に関する原理を通じて、人々の意思決定プロセスを探ります。これらの原理をマーケティングに適用することで、以下のような戦略が可能になります:
認知バイアスの利用
人は合理的に行動するわけではなく、バイアスに影響されやすいです(例:アンカリング効果)。価格設定やプロモーションでこの特性を利用できます。
認知バイアスとは、私たちが情報を処理し、意思決定を行う際に陥りやすい無意識の思考の偏りを指します。このバイアスは、人間が合理的に考えようとしても、感情や状況によって影響を受けてしまうために発生します。
例として「アンカリングの効果」と言うものがあります。
人は最初に提示された情報(「アンカー」)がその後の判断や意思決定に強い影響を与える現象です。価格や数量、価値などを比較する際に、最初に示された基準が基盤となりやすいのです。
- マーケティングでの活用: 商品を「通常価格10,000円が特別価格7,500円!」と表示することで、消費者は10,000円を基準(アンカー)として考え、7,500円が非常にお得に感じます。また、新しい車を買う際に、最初に高級車を見せられると、その後に見た手頃な価格の車がさらに安く感じられたりします。
社会的証明
他人の行動や意見を自分の判断基準にする傾向です。「みんなが選んでいるもの」や「人気のあるもの」が良いものだと思い込みやすくなります。
- マーケティングでの活用: 「累計販売本数1,000,000本突破!」や「95%のお客様が満足!」といった表示を広告に使うことで、商品の信頼性や魅力を強調します。他人の行動が意思決定に影響するため「社会的証明」を活用し、レビューや口コミの重要性を強調することで効果が生まれます。
損失回避バイアス
人間は不思議なもので、これを得たい、こうなりたいという未来に希望を持ちながら、「損をしたくない」「現状のままでいたい」という、得られる利益よりも失う損失のほうが心理的に強く影響を与えます。「失う恐怖」は「得る喜び」よりも大きいのです。
・マーケティングでの活用:人は得をするよりも損失を避けることに強く反応します。「限定キャンペーン」や「在庫残りわずか」といった表現は、この心理を引き出す典型例です。「期間限定特典付き」といったフレーズで購買を促進します。また、 セールで「残りわずか!」の表示を見ると、「買い逃したら損をする」という心理が働き、購入を急ぐことがあります。
また、この損失回避バイアスを深堀すると、人は「方向性」という状況において、
【目的志向型】と【問題回避型】に分かれます。損失回避を特に気にするのが【問題回避型」です。
同じセール告知でも【目的志向型】には「今なら○○%で買えます」いう言葉が刺さり、【問題回避型】には「あと1日でセールが終わります」という言葉が刺さります。この刺さる事と言うのが、コミュニケーション心理学NLPで言うところの「影響言語」というものです。
確証バイアス
確証バイアスは自分の信念に合う情報だけを受け入れる事を指します。人間はすでに信じていることや期待していることに一致する情報を優先的に探し、反する情報を無視または軽視する心理的傾向があります。これは、思考を効率化するための自然なプロセスですが、時に非合理的な判断を引き起こす原因にもなります。
・マーケティングでの活用:既存の顧客は、自分の選んだブランドを「正しい選択」と感じたいので、ブランドにポジティブな情報を積極的に受け入れます。また新規顧客がブランドに興味を持った場合、ポジティブなレビューや証言を見せる事で「間違いない」と確信を深めます。ポジティブな情報は顧客に「これを買っていいんだと確証」してもらうための後押しに大きく貢献するのです。
ユーザーを理解し信頼関係を気付く
心理学は人々がどのように感じ世界を捉え、考え、行動するかを研究している学問です。これには、意思決定、記憶、学習、感情、認知プロセスなどが含まれます。
皆さんは普段ユーザーを理解する上で、アクセス解析を行ったり、アンケートを実施したりと、色々と工夫をされているかと思います。集めたデータを解析してみると、ある程度まではユーザーの事が分かってきます。ただ、データというものには「空白部分」が必ずあります。
今はAIが進みデータ集計や解析も昔に比べて精度も高くなり、作業も短時間で済むようになりましたが、どんなにデータを収集しても必ずそこには欠損部分があり、それを埋めるのが人間の「想像力と創造力」です。
では、どのようにユーザーと信頼関係を築いていくかについて、少し説明をしていきたいと思います。
ミラーリング
ミラーリングは、相手の言葉遣いや身体の動きを模倣することで、無意識のうちに親近感や信頼感を生み出す手法です。人間は、自分に似た人に対して好意や安心感を覚えやすいという心理があります。
マーケティングへの応用
- 広告やメッセージの言葉を調整する
ターゲット層の言葉遣いやトーンに合わせた広告コピーを作成することで、「自分のためのサービスだ」と感じてもらいやすくなります。- 例:「若者向け」ならカジュアルなトーン、「経営者向け」なら専門的でフォーマルな言葉を選ぶ。
- パーソナライズドマーケティング
顧客データを活用し、それぞれの興味や行動に合わせたメッセージを配信する。
五感を使ったコミュニケーション
コミュニケーション心理学のNLPでは、人間が情報を処理する際の好みのスタイル(視覚型・聴覚型・体感型)をVAKモデルとして分類します。このモデルを活用することで、顧客の情報の受け取りかたのスタイルに合わせる事が可能です。
マーケティングへの応用
視覚型の顧客
ビジュアルに訴える広告(鮮やかな画像、動画、インフォグラフィック)を活用。
- 例:「商品がより魅力的に見える画像や動画を用意する」「洋服なら人間が来てより素敵に見える着用画像」「商品だけでなく、空間も利用してより商品を良く見せる工夫」
聴覚型の顧客
聴覚型は口コミやエビデンスを重要視する傾向にあるため、商品詳細や口コミを活用。
- 例:総販売数○○件突破やレビューを強調する
体感型の顧客
実際に体験できるデモンストレーションや、触覚をイメージさせる表現。
- 例:触った感覚を言葉で伝えたり、サンプルを配布したり、体験中の動画を見せるなど
リフレーミング
リフレーミングは、ある状況や出来事に対する見方を変えることで、違う捉え方に直す手法です。例として、コップに半分ほど入った水を見て「もう半分しかない」と捉えるか、「まだ半分もある」と捉えるか、捉え方次第でポジティブにもネガティブにもなれます。
マーケティングへの応用
価格への不安を解消
「高価すぎる」と思われがちな製品を、「品質への投資」として再定義します。
- 例:「この家具は値段以上に長持ちし、毎日を快適にしてくれます。」
不便さを特別感に変える
「希少性」を強調し、商品が手に入りにくいことを魅力として表現。
- 例:「数量限定でしか手に入らない特別な一品です。」「1つ1つ手作業のため、同じものは世界に一つとして存在しません」
このように心理学はマーケティング戦略に大きく関係しており、切っても切り離せないものです。本日ご紹介したものは、ほんの1例にすぎません。人間は分かりにくく奥深いため、様々な切り口でユーザー心理を紐解きながら、自社の商品の魅力を届けていく必要があります。
さいごに
心理学×マーケティングは顧客との深い繋がりを築く鍵です。
心理学とマーケティングは、どちらも人間の行動や意思決定を深く理解するための学問として密接に関連しています。心理学を活用することで、単なる商品の訴求だけでなく、顧客の心に響くメッセージを伝え、より効果的に行動を促進するマーケティングが可能になります。
特に、NLP(神経言語プログラミング)を応用することで、顧客の価値観や思考パターンを理解し、個別化されたコミュニケーションを築く事も可能です
心理学とマーケティングを掛け合わせることで、単なる「売る」から「顧客とのつながりを作る」マーケティングへと進化させる事が重要です。
Writer.
この記事を書いた人
桃谷 雅美
リアル店舗での接客業を10年経験した後、ウェブマーケティング業界へ転身。リアル店舗での販売経験を活かしながら、ウェブサイトの改善やディレクションを行っています。
また、心理学のNLP(ニューロロジカル言語)の講師の資格を習得し、サイト運用を心理学というアプローチから改善できるよう日々研究を行っています。
■所有資格
ウェブ解析士協会 ウェブ解析士マスター・上級SNSマネージャー
心理学/米国NLP協会認定コーチ
心理学/全米NLP協会認定トレーナー